洋画も日本画?!/(2006年・日展)
(昼食を済まし、上野公園を歩いて都美館へもどる)
ハロルド:それにしても、上野の森美術館の「生誕100年記念 ダリ回顧展」はいつ来ても混んでんな。
トーゴー:雨だというのに、場外に列つくって並んでるぜ。
ハロルド:俺らが鑑賞した時は平日だったけど、それでも、混んどったもんな。
トーゴー:テレビでも宣伝してるしな。それに、やっぱり、サルヴァドール・ダリはいいよ。
ハロルド:お前、アホみたいにダリグッズ買ってたもんな。主催者側の思うツボ。
トーゴー:もう一回くらい、鑑賞しようと思う。今度は一人でゆっくりと。
ハロルド:メシ食って、少し休んだ事やし、仕切り直して第二科の洋画を鑑賞しましょう。
トーゴー:楽しみだね。俺の持論としては日本人の描く絵は皆、日本画だという意見なんだけど・・・。
ハロルド:それ、どうゆう意味?
トーゴー:要するに、描く為の画材の違いで、区別してるんだろ。
明治以降に西洋から伝えられた油彩で表現しているのが洋画家と呼ばれるのであって、素材がどうあれ、日本人の描く絵は皆、日本画なんだよ。
ハロルド:ややこしい奴やな、お前。ダリグッズいっぱい買ってたくせに。
トーゴー:それは関係ないだろ。
ハロルド:じゃ、お前のいうところの
オイルペインティングという表現を用いた日本人作家達を鑑賞しましょう。
トーゴー:「夜半の祭」森田茂氏。いうまでもなく大家です。
ハロルド:祭りやな。その賑やかさはは伝わってくる。
トーゴー:それにしても、この絵の具の盛り方。豪快かつ荘厳だね。
ハロルド:この作品、ええやん。おもしろい!「九月のアトリエ」日野耕之祐氏。
トーゴー:このブルーを基調とした、ほのぼのとした感じがいいね。
ハロルド:日野ブルーやね。この男は作者自身なんだろう。いや〜、おもしろい。
トーゴー:日展洋画の中では、変わった表現をする作家だね。
絵の中にある椅子は、故・梅原龍三郎氏のものらしいよ。
日展洋画って積み重ねられた具象の伝統があるじゃない。
その上で「素直さ」「生活感」「思想性」「独創性」が常に問われ、同時に画題の発想・感動、構成力がないとダメでまさに狭き門。
そんな中で、氏の表現は異端ともいえるかな。
この作品なんかどう?「紅葉の遊鶏」清原啓一氏。
ハロルド:お前の好み、わかりやすいわ。
トーゴー:紅葉の美しい季節。
暖かそうな日差しの中、楽しそうに鶏が遊び廻っている。思わず心が弾む逸品。
心が大らかになるよね。日本の四季っていいよな〜。俺、今、紅葉ブームなんだよ。
日光の紅葉も良かったぞ! 今度、一緒に行こうぜ。
ハロルド:もう、日光の紅葉は終わったやろ。
トーゴー:日光はいつ行っても良いとこなの!
とにかく、日本の四季はいい。このような風土のなかで生かされてる喜びに感謝。
ハロルド:このフォーブな作品は? これも陽気な季節やぞ。
「五月の白馬付近」小間政男氏。
トーゴー:五月の白馬連峰は残雪で真っ白なんだな。
くっきりと白く浮き出る白馬連峰は、とても力強くて美しい。
ハロルド:優しさも伝わってくる。
トーゴー:俺は昔っから、この作家、イチ押しなんだけど・・・。
「逍遙・印可の偈頌」難波滋氏。
ハロルド:確かに、これは良い。このオリエンタルは面白い。
トーゴー:「逍遙」ってきままにぶらぶら歩くことらしいぜ。
でもって、「印可の偈頌」は悟りの境地か何かか?
ハロルド:う〜む。油彩で持って、この妙なオリエンタルな表現。
今後、期待が持てるな。
トーゴー:だから、俺は昔っからのイチ押しって言ってるじゃん!
ハロルド:うぁ、巧い!!「懐かしいリュートの調べ」永田英右氏。
卓越した巧さの中にも風格と独特の雰囲気が感じられる!!
トーゴー:洋画作家は比較的、人物表現皆巧いよね。
俺はそういった意味でも「卑弥呼」小灘一紀氏をオススメする。
西洋では、過去を顧みて古代の精神を表現するという試みがしばしば見受けられるが現在の日本人作家においては、そういった名作が少ないように思われるよね。
あえて、そういった主題に真正面から挑戦する氏の精神性の高さを評価したいし、好きだ。
歴史をたどり、古代を自由に空想するのは楽しいし、勉強にもなる。
芸術って呼ばれるものには、多かれ少なかれ大切な行為なんじゃないかな?
ハロルド:音楽とかもな。
トーゴー:この作品、面白いね。「遥かな日」鈴木英子氏。
ハロルド:ほんまや。和製ルソーっていうか、ルソーの表現を完全に超えてるな。
この作家の作品は色んな展開ができそうなポップさがある。中央の人物、絶対、作者自身やぞ。しかも絶対、似てると思う。絶対!
トーゴー:絶対、絶対ってうるさいな。でもほんとオリジナリティー溢れる作品だね。
ハロルド:彼女に会ってみたいな。
トーゴー:「月」福田あさ子氏も独特な雰囲気を醸し出してるよな。
ハロルド:確かに。この奇妙な作風は独創的で訴えかける何かを秘めてるな。
トーゴー:洋画を総評すると、やはり日展の洋画は具象の伝統が暗黙にあり、あらためて審査のレベルの高さを感じました。その中でも新鮮な感覚の作品が多数見受けられ、一層の期待がかかります。もう少し過激さがあってもいいのでは?とも思いますが、そこは伝統と革新との折り合いが難しいところなのでしょう。
ハロルド:伝統と革新ねぇ〜。
To be continued.

