ボッシュと富山/銀座
トーゴー:みゆき画廊の後は、お約束で銀座スルガ台画廊に寄らなくちゃね。
ハロルド:それって、お決まりなん?
トーゴー:俺的にはね。
俺のいつものコース! 多分、この辺りではお決まりのコースでしょう。
銀座画廊めぐり協会では、そう決まってるはず。きっと・・・。
ハロルド:まぁ、お前のいつものコースはどうでもいいけど、「能島芳史展」というおもしろそうな個展が開催されてるで!
トーゴー:ホントだ! 何だ、この幻想的な美の空間は!!
ハロルド:技術もさることながら、何か、えも言われぬ深みを感じるわ。
トーゴー:これは、ただものではない表現力だぞ!
「風蝕」という作品は何か我々現代人に、大切な何かを問いただして来るかのような、メッセージ性を秘めた大作だ。
ハロルド:「風蝕・A」と「風蝕・B」の間に挟まれて展示されてる「生命の樹」は、「風蝕」とはまた違う趣があり、美しい作品やなぁ。
両方の「風蝕」が「生命の樹」を引き立たせ、また、真ん中の「生命の樹」が「風蝕」という作品をより深く誘うように展示してある。循環しているようや。
トーゴー:これらは、3点並べて鑑賞するのがベストみたいだね。
ハロルド:そうやねん。その辺りは実際、画廊に足運んで鑑賞しないと伝わらへんねんなぁ。それに、大作3点はアクリルが掛けられていないので、「どこか魅力的な妖気」とも言うべきか、不思議な雰囲気を放っている。
この、アクリルのない「生」が醸し出す空気を、是非、皆さんに味わってほしいわ。
トーゴー:迫力が全然違うものな。
ハロルド:小品は、大作とまた違って親しみやすく、おもしろい表現やね。「生命の樹・C」
トーゴー:この作品はよく観ると、マチェールが下から上へ変わっていく。
そもそも、この粉の様に浮き出す技法は何だ? これは油彩でしょ。
ハロルド:そこら辺りも、原画に触れて観ないと伝わへんポイントやな。
トーゴー:これは、何か特殊な技法に違いない。
それも、とても高度な次元の表現法だと感じるが・・・。
ハロルド:小品群は大作に比べ、メッセージ性が薄く、エンターテインメントに昇華されてる。とても希望的な美しさを感じるわ。
トーゴー:「南瓜・A」も俺、好きだけど。
ハロルド:そういえば、京都ではカボチャの事、ナンキンって言うとったなぁ。
トーゴー:うちの親父なんか、いまでもナンキンって言ってるよ。
トウモロコシはナンバン。鶏肉は、かしわ。ゆで卵の事は、にぬき。
ハロルド:お前の親父の話はどうでもいいけど、「南瓜・A」も非常に謎めいた、不思議な魅力を放つ逸品やね。何なんやろ、この感じは?
トーゴー:その、謎を感じるのが美術鑑賞だしな。
優れた美術・芸術には必ず謎があり、その謎ゆえに人々は心を引きつけられるのでしょう。
ハロルド:しかも、生で魅惑の作品に触れられるって事は、とても幸せやな。
感動だって得られる事もあるんやで。
トーゴー:もっと、幸せな事に能島芳史氏にお話を伺う機会に恵まれたよ。
氏は、ヒエロニスム・ボッシュに触発され、なんとロッテルダム・ボイマンス美術館とベルギー・ゲント美術館に3年半通いつめて、2点の模写を完成させたと言う。
ヨーロッパの旅で氏が最も心ひかれた、ボッシュの作品、「大洪水の祭壇画」と「聖ヒエロニスム」の2点だ。
ここで、どうして「快楽の園」じゃないのか?
とお考えになる読者の方が多いと思いますが、氏も本当はヨーロッパにあるすべてのボッシュ作品を観た上で、マドリード・プラド美術館にある有名な大作「快楽の園」の模写をするのが目的だったのだ。そのために、池袋でスペイン語も習ったと、氏は笑いながら言った。
しかし、その時期、プラド美術館が改築中でどうしても、模写の許可が下りなかったらしい。
そこで、気持ちを切り替えた氏は上記の作品2点を、3年半にわったて、格闘の末、模写したのだ。
氏は、ボッシュと対峙した折、フランスやイタリア絵画とは異なる、独特の技法と様式のフランドル絵画という古典技法を研究する。中学校の美術教師をやめてまで、自分の絵を探し求め、フランドル絵画にのめり込む。しかし、それを知れば知るほどボッシュの多彩な表現力に驚嘆したらしい。
そこで、どうしてもボッシュと全面対決しなければ先へ進めないという思いから、「ヨーロッパ・ボッシュ模写の旅」が始まったのだそうだ。
氏は、ボッシュのイメージとは裏腹に、とても親しみやすく穏やかな方で、話は氏の地元、富山の話にまで及んだ。
ハロルド:なるほど、このただならぬ表現力の背景には、ボッシュの模写という裏付けがある訳や。
トーゴー:プラドは、本当に凄いぞ!まず、デカい!
それに、スペイン王室の美術収集熱はスゴイの一言。
宮廷に仕えた画家達もいちいち偉大なのだが、やっぱり、昔の王室の力は半端じゃない事がわかる。
要は宮廷お抱えの画家達な訳じゃん、プラドに展示されてる画家達って。
一日では観きれないよ。それぞれに、テーマも重いし・・・。
300号とか400号とか平気であるんだぜ。しかも、細部まで精密なのよ。
人間業とは思えないよな。まともに一点、一点観てたら、頭がクラクラするよ。
プラドといえば、ベラスケスも有名だよな!!
ハロルド:なんで、お前が熱くなってんねん!
トーゴー:いや〜、ゴメン、ゴメン。能島氏を前にして、はずかしい・・・。
ハロルド:それにしても、富山っていい所ですよね〜。
酒も魚もお米も、旨いし。しろえびも美味しいし。
しろえびって、知ってる? 生で食うねんで。めちゃめちゃ、濃厚な味やぞ!
初夏になったら、ホタルイカも旨いしね。
酒は立山のスッキリ辛口で!!
トーゴー:なんで、お前が富山を語ってんだよ!
ハロルド:富山行ったときには、能島氏にお世話になろうと思って。
トーゴー:図々しいよ!!
それにしても、氏の作品は現代においてこそ、重要な意味を発揮するのではないか。
それは、氏がボッシュに迫り、ボッシュを超えるという事を永遠のテーマとしているからだ。ボッシュの世界こそ、もしかしたら我々の生活している現代社会なのかもしれない。
現代こそ百鬼夜行の時代だからだ。
ハロルド:なるほど。俺もプラド観に行かなあかんなぁ。一緒に行こう!
その前に、富山へ行きたくなったわぁ。今の時期、ぶりが最高に美味しいで。
To be continued.


コメント (4)
投稿者: 匿名 | 2008年07月18日 16:53
日時: 2008年07月18日 16:53
投稿者: 匿名 | 2008年08月01日 22:56
日時: 2008年08月01日 22:56
敢湿 拍湿などは
投稿者: ラフティング | 2008年08月06日 17:16
日時: 2008年08月06日 17:16
晩云繁とロシア繁が
投稿者: 忽 | 2008年08月15日 16:11
日時: 2008年08月15日 16:11