自分との対話/銀座
ハロルド:それにしても、1800万円はビビったわ。
トーゴー:そう? 上には上があって、平山郁夫氏の世界までいくと、
訳わからなくなってくるよ。号500万円とか・・・。
ハロルド:日本画壇の構造が、まだ、今イチわからへんな。
トーゴー:世界で通用するかっていうと、はてな?な世界だけど・・・。
ハロルド:ここら辺で、若手の作家を鑑賞しましょう。
トーゴー:柴田悦子画廊で開催の「森栄二彫刻展」
ハロルド:「はだかの王子様」この作品は、どうやら楠に彩色を施してんな。
トーゴー:遠い記憶の中にある、自分でもあやふやな、大切な物語を感じる作品。
氏は彫刻をとおして「自分との対話」を試みているのではないか?
「はだかの王様」と何か、かかっているのかな?
幸運にも、森栄二氏に伺う事ができた。
氏は、全然、関係ない。と言い切った。「思想性は全く無いです。」
ハロルド:なるほど。他にもおもしろい表現を試みており、
展示の仕方にも工夫がみられる。
この、画廊全体にただよう、なんとなく、懐かしい匂いみたいなものは
会場に足を運ばないと、わからへん感覚やな。
トーゴー:気鋭の作家。氏の彫刻に対する真摯な態度が伝わって来るね。
ハロルド:優しい人柄が表れている。今後の活躍に期待!やな。
トーゴー:次は、ギャラリー銀座エストで開催の「我流毛筆展」を覗いてみない?
ハロルド:この看板、「我流」のわりには、ものすごく、おさまりがいいんやけど・・・。
トーゴー:まぁ、看板だから・・・。わかりやすく書いたんでしょ。
でも、ちょっと、このコピーが気になるな。
手本を持たず、師を持たず、模す事を排し、ただひたすら自分の「書」をかく。
上手で無くて良い。自分なりのいい「書」を書きたい。・・・
ハロルド:「書」はそれで、いいんちゃうか。自分流で。
トーゴー:いや、俺は古典に学んだ上で、表現した方が、品格が出ると思うけど。
ハロルド:そうすれば、師風や会派色の強いものになってしまうで。
大体が、師匠と同じになってしまい、それを超えられへんやろ。
トーゴー:でも、書は学びながら表現するという側面を持っていると思うし・・・。
秘かに、独学で古典を学ぶ事もできるじゃん。普通は学びたくなるものでしょ。
臨書は絵画でいうデッサンみたいなもの。それを、すっ飛ばして、
いきなり創作っていうのは、いかがなものか?
ハロルド:まぁ、ええやん。その辺は自由で。とにかく観てみよう。
トーゴー:おぉ、おもしろい表現だねぇ。大胆で自由な発想。
「真 shin」大内晃氏の作品はフリージャズのような響きがあり、
それでいて、筆の勢いを感じる作品。
ハロルド:断ち切りとかも、やっちゃっていいんや。自由やし。
トーゴー:元祖は、上田桑鳩氏が1950年に、構図構成の一種の拡張として、
試みた表現だね。のちに、井上有一氏や須田剋太氏なども試みている。
というか、須田剋太氏ははみ出しを恐れない、とても力強い表現が特徴。
それらとは、違い非常に楽しげな作品だね。
ハロルド:それは、自由に楽しんで書いているからちゃう?
トーゴー:確かに、この会場にある作品群は、楽しげというか、陽気だね。
ハロルド:楽しんで創作している。大切な事やと思うで。
トーゴー:「hana」山脇昇氏の作品も、はみ出しちゃうぐらい元気だよね。
ハロルド:花の生命力が楽しげに表現されてんなぁ。
トーゴー:「空/土」は、どう? 高橋修一郎氏。
ハロルド:この作品は、「空」が羽ばたく鳥を表し、
「土」が腕を組んで、じっと佇む人間。
俺にはそう観えるで。
トーゴー:なるほど。いわれてみれば、そういう風に観えるなぁ。
ハロルド:なかなか、味わい深い作品やね。
トーゴー:「こ・こ・ろ」はもう、
こちらの心も弾むようなリズミカルな表現だね。志賀綾奈氏。
ハロルド:書って難解になりがちやけど、とても親しみやすく、
人間らしさがにじみ出ている。
トーゴー:この、我流毛筆の会は、詩人で、書評論家でもあった疋田寛吉氏の
「我流毛筆のすすめ」に感銘した者達が氏を訪ね、
初めて毛筆を握ったことが始まりらしい。
手本を持たず、誰からも書法を習わず、
ただひたすら書き続けながら、
「自分との対話」の中で自分の書を見つける。
生前、疋田寛吉氏はこう言ったという。
そつなく見栄え良く書かれた「書」、 いかにも手慣れて達筆風に書き流された「書」を排し、 人それぞれの気性に良く似通った、他人に模倣出来ない筆跡があって、 同時に何かしら面白いところがうかがわれる書を評価する。 書の美醜ではなく、書にあらわれたその人の投影が、問題である。
ハロルド:まさに「書は人なり」やね。
トーゴー:俺も、我流毛筆の会に入って、いきなり、自分の書を目指そうかな。
ハロルド:意見変わっとるがな!
トーゴー:っていうか、我流だから、自分でやればいいんじゃん。
ハロルド:勝手にしろ!
To be continued.

