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2006年12月26日

本能的にポップへ/横山操/銀座

トーゴー:ちょっと、ショックな事があってね・・・。

ハロルド:何の事?

トーゴー:多方面の読者から、
「このブログは難解になりつつある」というご指摘を受けているんだよ。

ハロルド:俺はそう思わへんけどな?

トーゴー:いや、ハロルドさんは、もうある意味で素人じゃないから。
それに、もともと美術を志していたという過去もある。

ハロルド:なるほど・・・。

トーゴー:一般の人が広く楽しむサイトにするには、
もっと、ライトにしないといけない。
エンターテイメント性を重視する俺としては、
もっと、内容をポップに伝える努力をしようと思う。
既存の美術誌や、美術評論と違い、ブログという特性を活かして
もっと、お気軽感というか、お手軽感というか、親しみやすさを考えて、
美術に付きまとう堅苦しさを無くそうと思う。

ハロルド:美術・芸術をポップ視する訳やね。言葉に語弊があるかもしれないけど。

トーゴー:という訳で、とある老舗画廊に入って、
平山郁夫氏の作品を鑑賞しましょう。
ある意味、日本で一番大衆的な作家だしね。「平和の祈り」。


[平和の祈り] 平山郁夫

ハロルド:高いんやろ、絵の値段・・・。
キリスト教と、仏教と、イスラム教がツッコミ入れあってる絵に観えるけど。

トーゴー:「平和かよ!」って、おい! 怒られるよ。
作品価格は現存する作家の中で、飛び抜けて高いんだよ。

ハロルド:高額納税者番付で常連やもんな。芸術家部門で。

トーゴー:日本だけだよ、評価が高いの。国際的な評価は無名に近い。

ハロルド:日本だけで、カリスマ的人気があるのか・・・。
矢沢永吉氏や、長渕剛氏みたいな人やねんな。

トーゴー:ちなみに、この作品7000万円〜8000万円。

ハロルド:1000万円もの差は何やねん!
忠作先生の、あの「鯉」の作品、2作品買っても、おつりがくるやん。

トーゴー:オークション的な価格設定になっているのでしょう。
最低ラインが7000万円。上限が、およそ8000万円。
それに、お前、大山忠作氏の作品、そんなに好きになってるの?

ハロルド:忠作先生とは宿運的な何かを感じる・・・。

トーゴー:ともかく、あれこれ言う人も多いが、平山氏は凄い作家なのです。
一度、機会があったら氏の近年の作品「平成洛中洛外図」を観て下さい。
「京都は日本の美の芸術作品」と語り、
現在の京都を圧倒的な美しさで表現しているから・・・。
もしかしたら、今後、氏の一番の代表作になるかもしれない予感がする。
それほどまでに、精華された芸術表現世界だと俺は高く評価する。

ハロルド:この作品の方が、俺はいいなぁ。「ニューヨークシティー」横山操氏。
そういえば、この作家、東京国立近代美術館の常設でも、観たな! 

トーゴー:近美の作品は氏の代表作の1つ「ウォール街」


[ニューヨークシティー] 横山操


[ウォール街] 横山操 東京国立近代美術館蔵

ハロルド:あれには、圧倒されたなぁ。
迫ってくるかのような、豪傑な迫力とエネルギー。

トーゴー:横山操氏の話、長くなってもいい?

ハロルド:ポップなブログを目指すんちゃんけ! 
だらだらと、小難しい事、語るなよ!

トーゴー:わかった!
横山操という日本画家は、日本画壇を疾風のごとく駆けぬけた、改革の旗手で・・・。

ハロルド加山又造氏の時も同じような事言ってたな。

トーゴー:ちょっと、語らせてくれ!!

横山操はその加山又造と親交が深いので有名。
むしろ、加山の方が、横山を兄事していて影響を受けていると俺は思う。
戦後の混沌とした中で、日本画の存在への揺るぎない想いで結ばれた信頼関係。

作品表現は、ほとばしる激情と荒々しい力強さの中に漂う、
深い寂寥感の横山に対し、日本画における伝統の意味を革新的な表現によって、
鋭利に問う加山は、一見、対照的でもあるが、
実のところ、芸術に対する真摯な眼差しは同じだったのであろう。

日本は戦後、価値観がひっくり返って「日本画」の存在すら否定され、
日本の日本人による「日本画」は大きな危機を迎える。
今の、俺達は平和ボケしていて、この時代の日本画家の苦悩はわからないかもしれない。

横山は吉田尋常小学校卒業後すぐ、画家を志し上京する。
ポスターの版下デザインや看板描きで生計を立てながら、
川端画学校日本画の夜間に通う。川端画学校とは、日本画家、川端龍子の学校である。

二十歳で青龍展(川端龍子の青龍社の展覧会)に初入選するも、
戦争で召集される。終戦後シベリアに5年間、抑留生活を余儀なくされる。
戦争で軍隊生活、戦後はカザフスタンで石炭採掘の強制労働の日々。
日本画家(一般人としてでも)として、20歳〜30歳の10年間、
生死をかけたぎりぎりの生活は、まさに戦いとの闘いであっただろう。

「被害者になるな。加害者になれ。」
「民族的なものが、そのまま世界的である。」
「僕は日本人だから日本画しかない。」

これらは、横山の言葉だが、戦争や抑留体験で極限状態におかれた人間が
抱く絶望感から、消極的になるのではなく、むしろ積極的になるっていうのか、
どちらかといえば、無鉄砲な勇ましさがうかがえる。
対立する事で、自分の生きる意欲をかきたてる。
「加害者」という言葉は、悪い意味ではなく、横山流の決して負け犬にはなるまいと、
自分に言い聞かせて生きて来た経験から、出てくる「強い」言葉なのであろう。

30歳で、復員帰国して青龍社に復帰。
かの川端龍子が寵愛したという。それは、作風は違えど表現に対する姿勢が、
若い頃の川端自身の姿と似ていたからだではないか?
青龍社での横山の活動は非常に順調であったが、
1962(昭和37)年の青龍展に出品予定の作品が、
師・川端の作品より大きいという理由で、絵の縮小を求められ、青龍社を脱退する。

しかし、脱退の真の理由はもっと、本質的に根深いもので、
横山は、青龍社という団体の中で身動きがとれなくなるのを
直感的、本能的に察知していたのだ。

そんな横山に川端は、脱退後も暖かく迎えたという。
それは、川端龍子という作家が日本美術院を脱退して、当時院展の主流であった
古典的で端正な画風に対し、豪放磊落な芸術を求めて、青龍社を結成した時の
川端自身の気持ちと横山の心境が同じであると、川端は解釈したのであろう。

川端が提唱した会場芸術の申し子、横山は、
青龍社の理念を具現化した作家であり、
それに収まりきらない魂の画家だったのだ!

ハロルド:長いわ! アホ! ライトなブログを目指すんちゃうんけ!

トーゴー:ゴメン!ゴメン! つい横山操には思い入れがあって・・・。

ハロルド:でも、この「ニューヨークシティー」という作品は、
近美の常設で観た「ウォール街」と比べ、軽妙なタッチだね。

トーゴー:無意識的にか、意識的なのかわからないが横山も、
時代が求めるポップさみたいなものを、表現したのでしょう。
だから、俺もこのブログを直感的、いや本能的にポップなものにしなければと感じる。

ハロルド:ウソですやん!
さっき、多方面の読者からの指摘があったって、言いましたやん!
横山操を語って、勢いで横山になったつもりでいるだけですやん!

トーゴー:バレた?
それにしても、この画廊の女性スタッフが、かわいい。
接客の対応にも品がある。作品については、あまり知識がないみたいだけど・・・。
でも、そこがまた、かわいい。
この画廊の、どの作品よりも美しい・・・。

ハロルド:お前は、何を鑑賞しとんねん!

トーゴー:しかしながら、今の日本って平和だよなぁ。
ブルックリン辺りだと、7000万円やらがゴロゴロしたところを
かわいい女性一人に、まかせられないよ。危険で・・・。

ハロルド:案外、この平和は、平山郁夫氏による「平和の祈り」のおかげかもな?

To be continued.

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