大竹伸朗という名の虎/東京都現代美術館
トーゴー:来ちゃいましたね。大竹伸朗「全景」
ハロルド:俺は、大竹氏の事を芸術家というよりも、今や
サブカルで話題の人と認識してしまってるけど・・・。
トーゴー:確かに、どう考えても
アカデミックでは無いよね。自身も言ってるが
人と違う事をやろうと、いつも思っていた氏は
学校の先生という常識人とは、合わなかったみたいだよ。
今や、現代アートの世界において、
アカデミックな教養のある芸術作品って、褒め言葉になるのかな? 疑問?
この展覧会を、観ればわかります。大竹伸朗という人間は、もの凄い画家です。
ハロルド:俺は生大竹、初だから、楽しみやな。
トーゴー:ハロルドさんは、幸運だよ。初大竹が、
大竹伸朗「はじめての大回顧展」だから・・・。
俺は、昔から大竹氏の大ファンなのだけど、
人生が変わるくらいの大きな感動を受ける時もあれば、
正直「何だ?こりゃ。」って、あっさり裏切られる事もしばしばあったものねぇ。
ハロルド:新日本プロレスみたいやな。
トーゴー:そう、そう。でも、ずっと追いかけて観てみると、
猪木的なのだが、全日本の馬場的でもあるんだよねぇ。大竹氏は深い・・・。
ハロルド:それ、どういう意味?
トーゴー:う〜ん、「変わらず、変わり続ける男!」かな?
ハロルド:ようわからん説明やな。とりあえず、展覧会場で感じてみるわ。
トーゴー:まず、30年間にわたりほぼ毎日、
制作され続けてきた「スクラップ・ブック」
ハロルド:う〜ん、このパッションは、何なんだ。芸術としての美醜じゃなくて、
なぜ何十年にもわたり、氏はスクラップし続けるのか?
何が氏を突き動かすのか?
美しさを超えた異常なエネルギーとパワーを感じる。
トーゴー:振り出しは、ロンドンでアル中のオヤジから、2ポンドで手にした、
大量の薄汚れたマッチのラベルから始まった。
それを延々ノートに貼り続けた氏は、その日以来、
拾ったゴミをノートに貼るのが止まらないらしい。
そこから、スクラップ・ブックは今現在も続いている。
まぁ、それ以前からも捨てられた印刷物などに、
執着するところがあったみたいだけど・・・。
ハロルド:氏は、作意が感じられる、綺麗に仕上がった物や、
端正に出来上がった物に対しては興味が無いみたいやな。
きっちり、完成された物じゃなしに、
作為の無いゴミの様な物に、愛着を感じるんやろう。
無作為の物に偏執狂的愛が芽生えるんとちゃうか。
トーゴー:俺は、まず、ラッセル・ミルズや、
ブライアン・イーノに興味を持ち、
それから、大竹伸朗氏の作品に出会った。
芸術鑑賞というのは、その時期の、
自分の心境などにも大きく左右されるものだと思うが、
当時、氏の作品に俺は、何か「ガツーン」と来るものがあった。
ハロルド:何や?「ガツーン」って!
トーゴー:衝撃を受けたって意味だよ。
ロバート・ラウシェンバーグや、アンゼルム・キーファー、
マイク・アンド・ダグ・スターンと初めて出会った時と、一緒の様な感覚なんだよ!
ハロルド:どうゆう感覚?
トーゴー:俺も、うまく論理的に説明できないが、
突然、何者かによって襲撃をくらった様な危険な刺激っていうか・・・。
人間の五感や、第六感どころの感覚じゃなくて、
言葉には出来ない、あらゆる感覚にスピリチャル・バイブが、
ビンビン伝わってくる感じかな。
全身に衝撃が走る様な、
なぜか熱い涙を流してしまう様な、
凄く前向きになれる様な、複雑な感覚。
自分でも今イチ、あの感情はどうなってしまっているのか、わからないんだよ。
優れたアートが放つ不思議なパワーとしか言いようが無い。
ハロルド:この、網膜シリーズはいいな。
トーゴー:実は俺、網膜シリーズが氏にとっての、
ひとつの完成形だと思っていたんだよ。
もっと言うと、なぜ、せっかく確立した、このスタイルを、また変えるんだと・・・。
もったいないじゃないか? と、ずっと不思議に思っていた。
ハロルド:スタイルを確立したい自分と、したくない自分。どちらもあると思うが、
氏の場合、永遠に大竹スタイルというのを確立したくない方が強いんやないかな?
でも、その姿勢が、氏のスタイルでもあるんやけど。
トーゴー:スクラップの時の話と一緒で、
完成されたものには興味が無くなるんだろうね。
そういえば氏も言ってるよな。作意は嫌いで、偶然とかが好きって。
だから、毎回が、実験的作品なんだろうね。
アートという、実験が楽しいのだろう。
ハロルド:村上隆氏とは、対極の作家やね。
自然に自分のなかに湧き起こってくる「衝動」が突き動かす力。
戦略性など関係ない。単純に絵を描くのが好きなだけなんやね。
村上氏みたいに業界を味方につけるという、政治力には興味が無く、
ただ、ひたすら「毎日と絵。」
トーゴー:どちらが、良いとは言えないし、
評価がどうあれ、それぞれの作家自身の魂の奥底にこそ、真実があるのでしょう。
それは、観る人が素直に感じれば良い事かな。
大竹氏の芸術観は、まるで緑がうっそうと生い茂った密林の中で、
こちらを睨む猛虎の様だ。そいつは、とても素早い瞬発力を持つ虎。
ハロルド:タイガー・ジェット・伸やね。
トーゴー:ずっと、来る日も来る日も、アートをし続ける大竹氏に
いつまでも現役で闘い続ける、おそらく生涯現役のプロレスラー、
タイガー・ジェット・シンや、アブドーラ・ザ・ブッチャー等が重なるけれど、
プロレスラーは、ファイトスタイルがマンネリ化してくるからなぁ。
その点、大竹氏は同じスタイルには留まらない。そこが違うね。
ハロルド:大竹氏には、タイガー・ジェット・シンが新宿伊勢丹前で
アントニオ猪木と倍賞美津子を白昼堂々、襲撃した時の様に、
インパクトのある衝撃的な作品制作を今後も期待します!
トーゴー:あの事件は1973年。ちょうど、その頃、
大竹伸朗という画家は、黙々と自画像を描いていたそうである・・・。
To be continued.


コメント (3)
ふうぅむ。
今日のはちょっと難しかったっす。
特に網膜・・・・わからーん・・・∩( ・ω・)∩
ところで
この芸術ジャーナルも楽しいのですが、
トーゴーさんとハロルドさんご自身の作品はアップされないのですか?( ; ゚Д゚)いつかでてくるのであらふと楽しみにしているのですが・・・。
いつかアップしてください。ぜし。
投稿者: 匿名希望M | 2007年01月04日 23:02
日時: 2007年01月04日 23:02
「網膜」という作品は、
目を閉じて、まぶたの内側に浮かぶ世界を、
表現したものらしい。
実際、巨大な作品を目の前にすると、
圧倒されますよ。機会があれば体感してみてください。
投稿者: トーゴー | 2007年01月08日 21:15
日時: 2007年01月08日 21:15
村上隆氏、ゴメン!!
この回では、大竹伸朗氏と村上隆氏は、
対極に位置する様な内容の会話を、展開していたけど、
村上隆氏は大竹伸朗氏の展覧会の会場で、
現代アートに目覚めたらしい。
それと、アートの売買にも・・・。
う〜ん、やっぱり、美術・芸術の世界は奥が深い!
そこんところも「芸術起業論」に、書いといてくれよ!世界のムラカミ!
少しばかり、誤解してしまっていたぜ!悪かった!
投稿者: トーゴー&ハロルド | 2007年02月23日 08:03
日時: 2007年02月23日 08:03