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2007年01月13日

揺らぐ近代/東京国立近代美術館

ハロルド:何や、その、えんじ色のジャケット?

トーゴー:最近、DVDで、ブラット・ピット出演の映画を全作品、
観返したんだよ。やっぱり、ブラピはカッコいいね。
このジャケットは「ファイトクラブ」の時のブラピのイメージ。

ハロルド:そうゆうつもりやったん? 全然わからんかったわ!

トーゴー:失礼な! 
俺の中ではブラピになりきって、いい気分でいるのに!

ハロルド:ふ〜ん。ブラピねぇ? ミーハーやねんなぁ。
本日は、東京国立近代美術館で開催の
「揺らぐ近代 日本画と洋画のはざまに」の鑑賞です。

トーゴー:まぁ、前から言ってるけど、俺の持論は、
日本人の描く絵は、全て日本画という考え方なんだけどね。

ハロルド:その考え方は、ちょっと強引やけど、全てを「日本絵画」に
統一し、材料による区分に、とどめるべきかも知れへんな?

トーゴー:では、その辺りもふまえ、あえて、この様に企画された
展覧会を鑑賞してみましょう。

ハロルド:狩野芳崖氏の「岩石」は、東洋的な水墨画の様でいて、
よく観ると、輪郭線は強調されず、洋画風の光の表現を試みてるな。


[岩石] 狩野芳崖

トーゴー:氏は洋画にできることが、日本画にできないはずはない!
という信念を一貫して持っていたというよ。
一方、高橋由一氏は洋画の先駆者的な画家と位置づけされるが・・・。 


[美人(花魁)] 高橋由一

ハロルド:「美人(花魁)」はリアリティがありすぎるな。

トーゴー:氏は「油浮世絵」というような特徴を随所に見せるが、
この作品は浮世絵の「大首絵」の構図が基盤となっている。
俺は、好きだよ。このリアリティーが、妙な艶やかさを感じさせるねぇ。

ハロルド:タイトルは美人やろ。それにしては、ちょっと老け過ぎちゃうか?
浮世絵をはじめとする美人画の伝統にならい、美化して描けよと言いたくなるわ。

トーゴー:横山大観氏の「迷子」はいいね。 


[迷子] 横山大観

ハロルド:孔子、キリスト、釈迦、老子の四聖の間に、
日本の幼児がこっちを向いて「迷子」。平山郁夫氏の「平和の祈り」より深い。

トーゴー:当時、思想的に、はざまに立たされた子供にすぎない日本の存在。
その日本の象徴である幼児だけが、四聖に囲まれ、じっとこちらを見据えている。
何かを訴えかけるように・・・。
この作品は、墨で描かれたのではなく木炭を使って
洋画的な描法を試みているところが、ポイント。木炭を膠で止めている。

ハロルド:下村観山氏の「魚籃観音」は、顔が「モナ・リザ」
これは、早すぎた現代アートか? 


[魚籃観音] 下村観山

トーゴー:中国に始まる、羅刹、毒竜、悪鬼の害を除くという
魚籃観音の顔が、「モナ・リザ」。
そういえば、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」も
どこか、観音様に通じる 尊い表情を浮かべているよね。

ハロルド:黒田清輝氏の「湖畔」。原画はやや汚れてんなぁ・・・。


[湖畔] 黒田清輝

トーゴー:この作品は油彩画でありながら、浴衣、団扇といった
日本的モチーフを題材にしており、今日、「日本画の代表作」と
いうような語られ方をするようになっているよ。

ハロルド:洋画にしては、厚塗りを避けた、
スーパーフラットな表現やもんな。そこが日本風。
村上隆氏の文脈にも通じるな。

トーゴー:藤田嗣治氏「自画像」。当時、エコール・ド・パリと呼ばれる
画家の一群で、日本美術を手がかりに成功を収めたパリの人気者の作品。   


[自画像] 藤田嗣治

ハロルド:どうやら、氏は日本美術の特徴を分析し、
意識的に強調することで、パリで目を引く、エキゾチックな画風を作り出した様やな。
いとうせいこう氏の様な、オカッパ頭の髪型と、
ロイド眼鏡に、チョビ髭の独特な風貌も、
実は、当時のパリで目を引く為の、戦略的な演出かも?
氏もスーパーフラットなのが特徴やね。
そういえば、村上隆氏は丸めがねに、あご髭やな。あの風貌も、戦略か?

トーゴー:油彩画なのだけど、この絵「自画像」の机の上には墨と硯があり、
氏が手にしているのは、極細の面相筆。これらは、日本の画材だね。興味深い・・・。

ハロルド川端龍子氏の「竜巻」に至っては、
もう、洋画という枠組みからも、日本画という枠組みからも、外れた
豪放磊落で、圧倒的な、とてつもない表現力に驚愕させられる。  


[竜巻] 川端龍子

トーゴー:竜巻に、運命を翻弄され、逆さまに落ちゆく海の生き物達。
とてつもなく大きな画面いっぱいに、生々しく表現された、異様な感じは、
何かを、暗示しているかのような、力強いパワーで、観るものを圧倒する。
氏は日本画で表現しているが、この絵を観る限り、
もはや、日本画も洋画も関係ないね。

ハロルド:要するに、今や、日本画と洋画を区別する事はナンセンスなのかもな。

トーゴー:結論として、日本人の描く絵は、今やもう、
日本画であれ、洋画にしろ「日本絵画」と、カテゴライズするべきなんじゃないかな。

ハロルド:日本人がいくら流行の欧米ファッションを、追いかけ回して、
いくら自分では着こなしてるつもりでも、日本人は日本人で、
決して西洋人ではない様に、日本人の洋画は「日本絵画」という事なんかな?

トーゴー:じゃあ、俺の、このブラピをイメージしたファッションは?

ハロルド:最初に言っておくべきやったけど、この際、はっきり言うわ。
全然、似合ってない! ブラピと全く違う!

トーゴー:ガ〜ン! ショック・・・。

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